『しずくと祈り 「人影の石」の真実』
朽木祥/著 小学館 1400円(税別)
広島の原爆資料館に展示されている「人影の石」。越智ミツノさんは爆心地付近の旧住友銀行前の階段に座っていたとされる一人で、著者朽木祥さんの姻戚にあたる方です。四世代にわたる少女たちの視点でミツノさんの「あの日」を辿ります。
娘の幸子さんは2日後母を捜しに壊滅した広島へ向かいます。遺品や目撃証言を得た幸子さんは階段の影はミツノさんだと確信するのです。戦後の調査によって、人影は人間の体が熱線や放射線で溶かされて浸み込んだものだと判明します。ミツノさんの「命のしずく」だと遺された人々は思うのでした。亡くなった人々は誰とも知れない人ではなく、一人一人に名前があり、それぞれかけがえのない存在です。みんなの記憶や祈りこそが人間の過ちを正していくのではないでしょうか。 (笹島)

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