読書のアニマシオン研究会

次回の例会のご案内

2024年4月6日(土)14:00~16:30

     場所:明治学院大学2号館2201

内容:「百科事典でアニマシオン」(平島)

「国語の教科書の表紙でアニマシオン」(藤條)

 参加費:会員500円 一般1000円 学生無料

3月例会「紙芝居をつくってみよう」

3月2日、3月例会を開きました。今回はショートアニマシオンが笠井英彦による25

周年記念誌に掲載されている実践報告。アニマシオンは渡部康夫さんによる「紙芝居を作ってみよう」でした。

■「あなたがもし奴隷だったら」

アニメーターがこの実践の必要性を感じたのは、中学校社会科教科書での黒人奴隷の記述があまりに貧弱すぎるという思いからです。教科書本文では「厳しい労働や伝染病により先住民が激減すると、アフリカから奴隷を連れてきて働かせました。」のみです。これでは中学生が黒人に対して誤解してしまい、アメリカの現実も理解できないのではないか。そこで絵本『あなたがもし奴隷だったら』(ジュリアス・レスター文/ロッド・ブラウン絵)を使い授業を組むことになりました。この絵本は黒人奴隷が置かれた現実が鋭い絵で描かれています。そこでグループに絵本からの絵を配り、絵をじっくり見て、その絵から想像できることを文章に書いてもらいます。そしてそれを発表します。順番に発表していくと、アフリカから運ばれ農場で働くことになったいきさつもわかります。これだけではありません。絵に出てくる鎖や鞭を用意しそれを体感してもらいます。鞭で机をたたくと炸裂音とともに振動が伝わります。これで体を打ったら・・・。黒人奴隷が置かれたひどい状況が体感できます。これが後の黒人差別に繋がり、今のアメリカをつくっていることを理解していくというものです。

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今こそ読もう、この一冊!!161

『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』

岡真理著 大和書房 

2023年12月31日

本書を読んでいて、何度もページをめくる手が止まり涙が出ました。すべて読むのが本当につらい本でした。でも本書に書かれたことはしっかり知らなければならない事実です。私は中学校の社会科を担当していることからイスラエル、パレスチナ問題について少しは理解しているつもりでした。しかし、この本を読んで私の知識がいかに足りなかったか、知るべきことが多々あったかを痛感させられました。

 著者の岡真理氏は早稲田大学の教授で現代アラブ文学、パレスチナ問題の研究者です。2023年10月7日の「ハーマス主導のパレスチナ人戦闘員による越境奇襲攻撃」があり、イスラエルは即時に「未曽有のジェノサイド攻撃」を始めました。病院や学校、難民キャンプまで激しい空爆が行われました。しかし、その報道の内容が実態に見合ったものなのか。そのような問題意識から、ガザについて理解してほしいという著者の強い思いからできた本です。10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で行われた著者の講演を基に緊急出版されました。「イスラエルという国がなぜできたのか」「シオニズムとは何か」「パレスチナ問題とは何か」「ガザとはどんなところか」「2007年以降ガザはどうなったのか」「私たちは何をすればいいのか」これらの疑問にわかりやすくしっかりと答えてくれます。人間の尊厳について深く考えさせられました。(笠井英彦)

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