読書のアニマシオン研究会
次回の例会のご案内
2024年1月6日(土)14:00~16:30
場所:文京シビックセンター5階区民会議室AB
ショート:ぼくらはアニマシオン探偵団学習会その5
アニマシオン:もとを知っていれば、もっとわくわく
~パロディ・オマージュ・エトセトラ~
参加費:500円 学生無料
今こそ読もう、この一冊!!152

『せんそうがおわるまで、あと2分』
ジャック・ゴールドスティン作、長友恵子訳
合同出版 2023.4
1914年に始まった第一次世界大戦は、1918年11月11日11時に戦闘を止め終戦となった。
しかし、前線ではそのぎりぎりまで戦闘は続けられた。ジョージ・ローレンス・プライスはその2分前10時58分に戦死した「最後のカナダ兵」である。この事実に基づき、物語は創作された。
ジュールとジムは同じ日に生まれた。ジムが2分先に生まれたのだ。二人はとても仲良しだった。1914年に世界大戦が始まって、イギリスの自治領だったカナダもドイツと戦うことになった。二人は軍隊に入ってフランスの前線に送られた。戦争は悲惨なものだったが、勝手に抜けることはできない。その戦争の実態がこえでもかというほど描かれている。
その最後の時間間際に攻撃命令が出された。ジムは先頭に立って飛び出し、ジュールの目の前で撃たれた。戦争が終わる2分前だった。ジュールは故郷に帰ったが、どんな仕事も続けられなかった。そして、時計屋を始めた。その時計はすべて2分遅れていたということだ。戦争は今も続いている。無残なものだ。あらためて絵本としてそれを伝えている。それでも、ユーモアをふくむ優しいタッチの絵は読み聞かせにも耐えられる。
日本でも太平洋戦争は1945年8月15日の無条件降伏によって終結したのだけれども、そのことが前線にいきわたるには何か月もかかった。その間に多くの兵が死に、民間人が被害にあっている。妻の父親は1945年6月に北京にいて召集された。戦死の通知は8月20日付けである。
戦争そのものが無くならなければならない。「人道的戦争」などというものは歴史上あったことはない。「国際法に基づいた戦争」などということもありえない。わかりきったことなのに、そういう隘路があるかのように言うのは政治のずるさだ。「子ども(だけ)を救う」などということも不可能だ。「戦争をやめろ!」―これだけが真実だ。(岩辺泰吏)
12月例会「本郷弦さんによる こやまみねこさんの詩の朗読」

12月特別例会報告
12月2日、特別例会を開きました。今回は詩人・作家のこやま峰子さんと俳優の本郷弦さんを招いての「朗読劇」と「演劇のワークショップ」でした。26年の読書のアニマシオン研究会の歴史の中でも「演劇」をテーマとしたのは初めてです。楽しく、学ぶことの多い月例会となりました。
■朗読劇とこやまさん、本郷さんのお話
まず本郷弦さんによる「朗読劇」。読んだのはこやま峰子さん訳の『あいたかったよ』(朔北社)です。バックにこの本にふさわしい音楽が流れる中、本郷さんの透き通る声が会場に響き渡ります。参加者は本の中身に引き込まれます。戦争や平和、戦争の中での子どもの気持ちがよくわかります。私たちがやっている読み聞かせにはない味わいがありました。