読書のアニマシオン研究会

次回の例会のご案内

2020年12月5日(土)14:00~16:30

会場:日比谷図書文化館4階小ホール(千代田区日比谷公園1-4)

 ショートアニマシオン「くらべっこ!でアニマシオン」アニメーター:平島和子

ワークショップ「注目を集めたのはこの本です

アニメーター:小山公一&読書会メンバー

定員30名完全予約制です。11月15日より予約を受け付けます。

笠井まで hidehikok@yahoo.co.jp

Twitter https://twitter.com/animationclub1

今こそ読もう、この1冊!!29

『せきれい丸』

 戦争は、1945年8月15日の終戦宣言をもって終わったわけではない。これは、1945年12月9日、淡路島と明石港を結ぶ連絡船「せきれい丸」に起きた悲劇の話である。100

名定員の船に349名が押し寄せて、転覆し、生存者は45名という事故。戦後の混乱はこういう事故を「小さな紙面」でじるだけだった。「ありふれたこと」だったのだ。

 淡路島に住む田島征彦さんときどうちよしみさんの協力でできた絵本。生存者の一人である大星貴資(たかし)さんの話を聞き、生きのびた少年ひろしを設定して、その少年が背負った命の思いを描いている。大星さんは淡路島で中学校の教師を勤めてきた人だという。「亡くした友の代わりに助けられた、という重みを背負った少年の心を描くため、漁師さんの放す顔を見ながら想いを深めた。漁港の船を見て歩き、少年の心の再生を考えた」と、たじまさんは挟み込みのリーフレットに書いている。

 海に沈みながら、戦死した父の「ひろし、生きるんや」という声を聴いて海面に浮かび上がる。そして、息子りゅうたを探す漁師に掬い上げられるが、りゅうたは見つからなかった。その分をも生きていく。戦争、生命というテーマは根気強く語りつがれていかなければならない。きどうちさんの染色による絵が風土の色となり、深みを与えている。

 たじまゆきひこ・きどうちよしみ作『せきれい丸』くもん出版2020.11、1,600円  (岩辺泰吏)

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今こそ読もう、この1冊!!28

『10分あったら・・・』

(ジャン=クリストフ・ティクシエ作、ダニエル遠藤みのり・絵 森川泉・絵 

2020年7月20日文研出版1500円

 父の仕事が変わったのをきっかけに、パリから500キロ離れた町に引っ越すことになる。父と母は、前に勤めていた会社を訴えた裁判があり、パリに行くことになり、フェリックスは2日間、一人で留守番をすることになる。電話で父から「10分あったら、おまえの部屋の壁紙をはがすのやっておいてくれ」と頼まれる。

フェリックスは、壁紙をはがしはじるが、壁紙をはがすと、不思議なことが書いてある。隣にすんでいる女の子のレアに聞いてみると、この家で、一人死んでいるという。ネットで調べてみると、10年前に、この家の家主の息子が銀行強盗を働いて、警察につかまっているという。銀行強盗の際に、金の延べ棒が盗まれたが、まだ見つかっていないという。

また、家に来ていた湯沸かし器の修理屋が「探しているものが見つからない」「分け前は半分ずつだ・・」のような、不可解な電話をしているのが聞こえる。フェリックスとレアは、金の延べ棒探しをはじめる。ドキドキハラハラの息をつかせない展開で一気に読み進めることができる。

 

謎解きのミステリーである。読みながら、フランスの子ども達の生活や南西フランスの風景が楽しめる作品でもある。(渡部康夫)

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