『よあけのはこ アラスカのむかしばなし』
ボブ・サム/語り あずみ虫/絵 谷川俊太郎/訳
あすなろ書房 2000円(税別)
先住民に伝わる昔話。昨今インディアンではなく、ファーストネーション、アボリジニー、ネイティブなどの呼び名に変化してきた。先住民へのリスペクトの意味から変化したそうだが、この物語からも随所にそれが感じられる。物語のキーパーソンは、ワタリガラス。日本では、カラスに嫌悪感を示す人も少なくはない。しかし、アラスカ・カナダ近辺に住む民族は、カラスにまつわるエピソードが多く、そのどれもがカラスを崇高な動物として登場する。この物語もそうだ。ワタリガラスが人間に生まれ変わるところから始まり、その子が3つの箱を開けていくことで世界が変わっていくストーリー。
私は偶然にもカナダのアボリジニーの村で、一年間、小中学校で授業を受けてきた。その際、英語だけでなく、部族の言葉、動物信仰、アボリジニーアート、革靴作り、鮭、鹿等の保存食作りを経験した。絵本には、動植物をデフォルメした独特のタッチが描かれ、ページをめくるたびに、不思議な世界にいざなってくれる。あとがきをぜひ読んでほしい。(藤條)

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