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今こそ読もう、この一冊!!227

『わたしのバラ はじめて詩を書いたとき』

こやま峰子/文 蟹江杏/絵 汐文社 1800円(税別)

 詩人・児童文学作家である作者の詩「月」―雲のうんだたまごーが、4年生国語の教科書に掲載されています。ふとした瞬間心が動き、言葉を奏で、詩が生まれる。詩を書き続けるきっかけとなった出来事が書かれている初めての自伝的絵本です。

 空襲や疎開を経験し、ようやく終戦。焼け野原の東京で間借り生活の中、母親が貰っ

てきたバラの世話を任されます。ある日台風が来て庭のバラは・・。瑞々しい絵が、あ

こがれの花バラへの思いや母親に褒められた喜びを一層際立たせています。冒頭と末尾

の青空は平和を象徴しているかのよう。巻末の作品一覧からも平和を希求し創作を続ける作者の生きる姿勢を感じます。世界の子どもたちを支援する募金活動のキャンペーンブックの一冊です。

(平島)