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今こそ読もう、この一冊!!224

『オレは「最強」だったから』

作:くすのき しげのり 出版社:潮出版社 2024.11

 司書さんが読み聞かせをしてくれたこの一冊。子どもたちとわくわくしながら聞きいった。恐竜たちが地球を支配していた時代。最強と謳われたティラノサウルスのキングに、まさかの出来事が・・・雷が彼に落ち時空をタイムスリップ。それだけでなく、身体はワニに入れ替わっているではないか。最強だった存在が、いつの間にか弱い立場になる。傍若無人に振る舞っていた最強キングはもういない。ビビリと嘲笑っていた相手に対し、今度は自分がビビリになるなんて。けれど、キングは挫けない。トレーニングを積み重ね、ビビリの汚名を挽回することになる。ここまでのあらすじを知ると、勧善懲悪、成長譚すら感じられるが、作者のくすのきさんは、そうした話を書きたかったのではない。

 キングは果たして立場が変わったことで、何に気付き、どう行動するのか・・・。ぜひ手に取って読んでもらいたい物語。「最強」を読むと、別冊『ボクは「弱虫」だったから』を読みたくなるはず。強いって何かを考えさせれる心に優しい一冊。(藤條)