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9月例会報告「軍隊のない国コスタリカ」「音と耳の不思議Plus」

9月例会報告

 台風一過の9月6日、9月例会を開きました。今回、ショートアニマシオンは大谷清美さんによる「平和・環境・人権の先進国 コスタリカ」。アニマシオンは大石視朗さんによる「音と耳の不思議+」でした。

■軍隊のいない国 コスタリカ

 大谷さんは今年2月、国際ジャーナリスト伊藤千尋さんのツアーでコスタリカを訪問しました。コスタリカは世界でも珍しい軍隊をもたない国です。環境保護にも力を入れていて、環境や人権の面でも先進国です。大谷さんがコスタリカで撮った多くの写真を見て説明を受けました。以下、その概要です。・1949年に憲法12条で「常設組織としての軍隊を禁止する」と決めた。そのきっかけは内戦で多くの人が亡くなったから。・軍の司令部は歴史博物館になり「武器は勝利をもたらすが、法のみが自由をもたらす」とのプレートが貼られた。・国境警備隊と警察はあるが大した武器はもたない。・他国とは武力を使わない方法を考え出して対応。永世、積極的、非武装中立宣言を出す

。1987年アリアス大統領はノーベル平和賞受賞。・国会は一院制で定数57。任期は4年で連続再選はなし。・選挙の公正さを保障するため立法、行政、司法の三権から独立した「選挙最高裁判所」

や「民主主義形成研究所」がある。・人権も保障されていて、最高裁判所(憲法法廷)には国民はいつでも訴えに来られる。小学生が校長先生の車が校庭に止められていて、遊ぶ権利を奪われたと訴えて認められた事例もある。

・国土の四分の一は国立公園や自然保護区で、ケツァールという鳥は火の鳥のモデルになったといわれる。・世界を平和にする方法を考える「国連平和大学」もある。大谷さんのこれらの話を聞いて、同じような憲法を持つ日本とあまりにも大きく違うことを考えさせられました。中南米は治安の悪化や紛争の危険がかなりあります。それを巧みな外交で回避している。学ぶべきことが多い30分でした。

■音と耳の不思議

 長年聾学校等で聴覚にハンデを持った子どもたちを指導されてきた大石さんならではの専

門的な知識に富んだ面白いアニマシオンでした。

 先ずやったのが『聞いて 聞いて!音と耳のはなし』(高津修・遠藤義人/文 長崎訓子/

絵 福音館)の読み聞かせでした。小学校中学年向きの絵本ですが、耳のこと音のことがとてもよくわかります。この後、音と耳に関係する3つのアニマシオンがありました。

(1)文学で口パククイズ 読話体験

これは聴覚障碍者のコミュニケーション手段のひとつである「読話」を知るアニマシオンです。アニメーターが前で発音せずに文学作品のタイトルや作者などを話します。参加者はアニメーターの口形を見てそれを当てるというものです。アニメーターは、1回目は普通の速さで、2回目はヒントとともにゆっくり話します。1回ではわかりませんが、「詩人」などヒントがでてゆっくり話してもらうと「谷川俊太郎」という答えがわかります。ヒントによって答えが絞られるためです。またアニメーターが歩きながら話したときは全くわかりませんでした。話し手は止まって口形がはっきり読めるように話す必要性もわかりました。

(2)本のタイトルを考えよう 筆談体験

アニメーターの説明では正確性については読話や手話に比べ筆談が一番だと言います。そ

れを体験するアニマシオンです。

グループに「本のタイトルを考えよう」というプリントが配られます。[    ]を埋めて3冊の本のタイトルを考えていきます。

A『パン屋では[      ]を売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』

B『部屋を片付けたら人生の[       ]が輝きだした』

C『最後の日まで笑って歩ける[     ]スクワット』

この[     ]に何を入れるかグループで話し合います。その話し合いですが、参加者はマスクをつけ話すことができません。読話もできません。筆談で相談して答えを探っていきます。やってみるとなかなか難しくて思わず声が出てしまいます。各グループからは、A「ジャム」「さいふ」「手抜き」、B「おにぎり」「くらやみ」「ゆるゆる」、C「余った耳」「のんべんだらり」「寝たきり」などの答えの発表がありました。正解を競うものではありませんが、正解はA「おにぎり」、B「ミラーボール」、C「ため息」でした。

この後、Cの本が紹介され、「ため息スクワット」を参加者でやってみました。これなら

毎日できると感じました。

(3)オノマトペを考えよう

次のアニマシオンはイラストを見てそのイラストから想像できるオノマトペ(擬音語・擬態語)を考えるアニマシオンです。グループに1枚イラストが配られます。そのイラストを見て、擬音語と擬態語を考えていきますが、擬音語と擬態語は区別して違う色の付箋をイラストに貼っていきます。例えば、夜の踏切のイラストでは、擬音語が「ブーン」「ガタンガタン」「ジー」。擬態語はビルの部屋の中を想像し「ヘトヘト」「スヤスヤ」「ピカピカ」など。やってみるといろいろ出てきます。このアニマシオンが「音と耳の不思議」にどうかかわっているのか?それは聴覚「障碍」のある子どもが一番獲得に苦労するのが擬音語だというのです。病院などで医師に説明できないことがあると。私たちが日常使っているオノマトペも人によっては難しいのだと・・・・考えさせられました。この後、動物の耳に関する簡単なクイズがありました。アザラシとアシカの耳はどうちがう?スズムシやセミの耳はどこにある?というもの。スズムシやコウロギは前足にあるとは驚きでした。(詳しくは『人間と比べてわかる 動物のスゴイ耳図鑑』を参考)

質疑・討論では、海外では幼児に人工内耳手術が多く行われていること、日本では3種類の手話が使われていること、読話と手話の関係などアニメーターから専門的な話がありました。ショートアニマシオンもそうですが、専門的な知識やなかなかできない体験を知ることは楽しいものです。有意義な時間でした。(記録:笠井)