
7月5日(土)猛暑の中ではありましたが7月例会を開きました。今回は昨年亡くなった谷川俊太郎さんを偲び、谷川さんの詩や本を使ってのアニマシオンを参加者から応募があった7名の方がひとり15分の時間でアニマシオンを披露しました。
■ともだちで詩を作ろう(滝脇)
谷川さんの著書『ともだち』(玉川大学出版社)を使ってのアニマシオン。2012年に原かしこさんがやった実践をリメイクした提案とのことでした。各グループに4枚の短冊が配られます。『ともだち』に倣って、緑の短冊には「ともだちって・・・・・」、ピンクの短冊には「ひとりでは・・・・・」、水色の短冊には「ともだちなら・・・・・」、黄色の短冊は「・・・・・ともだちはともだち」。この・・・・・・部分をグループで話し合って埋めていきます。そして発表。例えばこんな発表がありました。「ともだちっていつでも会いたい」「ひとりではかくれんぼしてもつまらない」「ともだちならゆるしてくれるよなあ」「おやつをよこどりされてもともだちはともだち」。短時間でできる楽しいアニマシオンでした。

■「かっぱ」を音読/「いっしょうけんめい一ねんせい」まねっこ詩(近江・笹島)
発案者の近江さんが参加できなくなったため、笹島さんが代わりにやりました。まず、「かっぱ」の音読のアニマシオン。「かっぱかっぱらった」から始まる谷川さんの詩「かっぱ」を二つのグループに分けて、赤組はそのまま、白組はすべて「かっぱ」と読んでいきます。これをリズミカルにやるととても面白いのです。次は谷川さんが校歌として作った「いっしょうけんめい一ねんせい」を使ってのアニマシオン。一年生から六年生まで詩になっていますが、ワークシートでは二年生と六年生のとこが「 」で空いています。そこをグループで話し合って入れるというものです。谷川さんの詩は「どろんこかぜのこ二ねんせい」ですが、「先ぱいかぜふかす二ねんせい」や「ことしはせんぱい二ねんせい」などの発表がありました。声に出して詩を読む楽しさがありました。

■「きりなしうた」ループうた/「たね」まねっこ詩(藤條)
藤條さんのアニマシオンは谷川さんの詩をまねての詩の創作でした。「今日、ちょっと心が動いたことを詩にしてみよう」ということで、まず各自が配られた画用紙に、「今日心が動いたこと」の文章を書きます。次に「そこまでの気持ちの流れをかんたんなお話にしよう」ということで、文章を簡単な文にします。そして、「韻(いん)を踏んで詩にしよう」ということで、藤條さんの作った詩が紹介され、それを参考に韻を踏んだ詩を作っていきました。指示通りやると短時間で詩が出来上がります。こんな詩の発表がありました。「中台小への道 日差しがきつかったな 校庭の蓮の花が美しかったな 下駄箱は45番だったな やっと教室頑張ったな」暑い中、月例会に足を運んだ詩です。短時間で面白くできる詩の創作でした。

■「そのこ」チョコレートと児童労働(笠井)
これは笠井がこの20年間、毎年社会科の授業でやっている「チョコレートの授業」の紹介でした。日本のチョコレートの原料カカオはそのほとんどをガーナから輸入しています。そのガーナのカカオ農園で働いているのは5歳から16歳ぐらいの児童なのです。その問題を谷川さんは『そのこ』(晶文社)で問いかけています。短い絵本ですが、児童労働の問題を鋭く指摘しています。塚本やすしさんの絵もそのことを上手に描いています。実際の子どもが働いている動画も使いました。谷川さんの社会性、過酷な生活をしている子どもへの思いがわかる絵本を使ってのアニマシオンでした。

■「いじめっこ いじめられっこ」
谷川俊太郎さんといじめ(泉)
現在都留文科大学で教鞭をとっている泉さんは、小学校教員時代から谷川さんの多くの詩を子どもたちと楽しんできました。今回はその中から「いじめ」のことを取り上げての報告でした。田中和雄さんが書いた谷川さんの「いじめ」の詩と小学生、中学生が書いた「いじめ」の詩の本の紹介がありました。谷川さんの「なくぞ」の詩は勿論ですが子どもたちの詩もなかなかです。これは今の道徳などの教材になりそうです。泉さんの話は『君たちはどう生きるか』や梨木香歩さんのことにまで広がりました。幅広い知識がある泉さんならではの報告でした。

■「はるは」夏のオノマトペ(大石)
大石さんがこのアニマシオンのテキストにした『はるは』は作家ジャニーナ・ドマンスカ作の絵本で翻訳が谷川さんです。この『はるは』は「はるは はるさめ」「なつは ざぶーん」とオノマトペをたくさん使っています。そこから大石さんが考えたアニマシオンは「夏のオノマトペ」。配られたワークシートに夏のオノマトペとそれに関する絵を描きます。そしてグループの中で発表していきます。「線香花火 チカチカ ポトン」とか「かみなり ゴロゴロ ドカーン」等夏らしいオノマトペの発表がありました。短時間で楽しくオノマトペを考えるアニマシオンでした。

■「しりとり」おもしろしりとり/ぐるぐるしりとり(岩辺)
読書のアニマシオン研究会で誰よりも谷川さんの詩をアニマシオンで取り組んできたのは岩辺さんです。昨年は『とても私的な「ぼくらの谷川俊太郎」通信』も発行しました。今回はどんなことをするのだろうとわくわく感をもって発表を待ちました。今回岩辺さんがテーマにしたのは「おもしろ・へんてこ・しりとり=谷川流」です。谷川さんの『しりとり』(いそっぷ社)『ととと おっとっと』(さ・え・ら書房)『ぽたぽたとぷん』(冴えら書房)の谷川さんの詩を紹介しながら、「自由しりとり」「ぐるりぐるりしりとり」「物語しりとり」などの説明がありました。それだけでなく谷川さんが詩集の最後に書いている説明文から谷川さんの誠実さ、子どもへの思いがわかるとの説明も。最後に小学校教師時代の子どもたちが楽しんでつくった詩も紹介されました。さすが!!この日の締めくくりにふさわしいものでした。
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