
『宙わたる教室』
伊予原新作 文芸春秋
青少年読書感想文コンクールの課題図書に選ばれ、ドラマ化もされた話題作です。研究職の第一線を外れ、定時制高校で教える藤竹先生。生徒たちと科学部を立ち上げます。読字障害を抱え、学習することをあきらめていた岳人は藤竹の「教室に火星を再現しよう。」という誘いに心動かされ、研究することの楽しさに引き込まれていきます。年齢も抱える事情も様々な科学部の四人のメンバーたちは火星独特のクレーターを作るためにそれぞれの力を発揮し、ついには学会での発表を目指します。そして彼らと共に挑戦する藤竹も「誰でもその気になれば必ず何かを生み出せる」ことを実感していくのです。「学びたい、知りたい」という気持ちは、果てしなく前に進んでいく力を生むこと、その過程で人と深くつながりあっていくことを教えてくれる作品です。(笹島)
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