· 

例会報告「こやま峰子さんでアニマシオン」

5月特別例会報告

5月10日(月)特別例会を開きました。今回は詩人・児童文学作家のこやま峰子さんをお招きしての特別例会でした。こやま峰子さんは、詩集や絵本、物語、翻訳本、海外文学紹介などか数多くの著書を出しています。小学校4年生の教科書にもこやまさんの詩「月」が掲載されています。今回は自らの戦争体験から作品に込められた平和への思いやこやまさんが憧れ尊敬するするジョルジュ・サンド、さらに大好きなゴリラについても語ってもらいました。

こやま峰子さんでアニマシオン

  まず、平島和子さんによるこやまさんの詩と出版された作品を使ってのショートアニマシオンをやりました。初めにやったのが詩のタイトルを考える「あてっこ詩」。「まっています だれかが とびらを ひらいてくれる ・・・・ みんな まっています とびらが ひらかれる日を」これは詩の一部ですが、タイトルをグループで考えるというものです。答えは「ほん」。もうひとつ。「いのちのつぼみ ある日 ちいさな くちばしで まどが ひらく うたが こぼれる」。答えは「たまご」。簡単なアニマシオンですが、詩を味わい、考えるにはとても良いアニマシオンでした。

  次にやったのがこやまさんの多くの作品をいくつかの分類されたキーワードでつなぐアニ

マシオンです。これはこやまさんの品が多岐にわたっているからこそできるアニマシオンです。『未来への伝言』『夢につばさを 世界の子どもたちに』『名作へのパスポート~世界の文学案内~』『にじいろのしまうま』『自由 愛と平和を謳う』『ノクターンの旅人たち』の6冊を、「戦争の記憶」「ベトナム戦争」「紀行文」「やなせたかし」「ポール・エリュアール」「ジョルジュ・サンド」や「詩集」「絵本」「翻訳」などのキーワードと結びつけるというものです。これをやるとこやま峰子さんがいかに広い分野で本を出してきたかがわかります。短時間でしたが意味のあるアニマシオンでした。

■こやま峰子さんのお話

こやまさんのお話は笹島さん、平島さんが質問しそれに答えてもらう対談形式で行いました。また話しの途中でこやまさんの詩の朗読も入りました。以下、こやまさんのお話の要旨です。

・1936年東京都蒲田生まれ。戦争の時代で「鬼畜米英」と教え込まれた。そのため中学、高校に行っても英語はやりたくなかった。後にフランス語をやることになった。

・兵隊が一番えらい時代。女は粗末にされた時代だった。我が家は2人姉妹の家だったので、母は辛かったと思う。

・静岡県の二俣で疎開体験もした。戦争が終わり東京に帰ってきたら建物はなし。学校の

授業は二部授業だった。女子だけの私立に行かせてもらった。

・大学で学びたかったが母に「だって女でしょ」と言われてあきらめた。フランス語は高

校の帰りに日仏学院で学ぶことができた。

・バイオリンもやったが母親には「だめねえ」と言われ上手にはなれなかった。後に市川

交響楽団で演奏した。

・母がバラをもらってきたのでそのバラの面倒を見た。そしてバラの詩を書いた。この詩

を読んだ母に「あらいいじゃない」と初めて褒められた。これが詩人となる出発点となっ

た。

・高校時代に図書館でジョルジュ・サンドの本と出合った。この本は衝撃的だった。女性

が物を書いて自立するという生き方。多くの知識人と交流し、フランス革命を守ろうとし

た。このジョルジュ・サンドの生き方にあこがれた。その後、こやまさんはジョルジュ・

サンドが暮らしたパリやノアンの館を訪ね『ノクターンの旅人』を書いています。

・仕事に関係で名古屋に行っていたころ、動物園に行ってゴリラと出会った。ゴリラを見

て「かっこいい」と思った。特に背中が気に入った。ゴリラの「イクメン」のところもい

い。ゴリラを好きなり、その後白ゴリラを見るためにバルセロナまで行った。こやまさん

は『ジャンボゴリラとたけのこ』や『しろいゴリラとくろいゴリラ』『大きな友だちゴリ

ラ』などゴリラの本をたくさん出しています。

■子どもに詩を書かせるには

参加者からの質問を受ける中で、「小学生に詩を書かせるにはどうしたらいいのでしょうか」という核心に迫る質問がありました。こやまさんは次のように答えました。

「あんまり難しく考えない。思いついたことを書くようにして、なるべくいろんなことが思いつくように暮らす。深く悩まない。ボーっとしていると浮かぶかもしれない。何かを見てすぐ浮かぶ時もあるけれどそういう時ばかりでもない。消しゴムとか文具をじっと眺めていると何か言ってくるのよね」このこやまさんの答えの中には詩や物語を作る上でとても重要なことが含まれていると感じました。

  最後に6月に出版されるこやまさんの新刊『わたしのバラ』(汐文社)の紹介が編集者からありました。この絵本はこやまさんが詩人として生きているきっかけとなった自らの歩みを絵本にしたものです。はじめて詩を書いたときのエピソードを、人気画家の蟹江杏さんが素敵な絵で描いています。ご期待ください。自らの生い立ちから平和への強い思いや女性としてあこがれたジョルジュ・サンドのこと、ゴリラへの愛情や詩の作り方まで多岐にわたる話をたっぷり聞かせてもらいました。とても有意義な時間でした。こやま峰子さんありがとうございました。こやまさんの話の詳細、参加者の感想は機関紙「ファンタジスタ」で報告します。(笠井英彦)