『ダッドリーくんの⒓のおはなし』
さく フィリップ・レスナー
え アーノルド・ローベル
やく こみやゆう アノニマ・スタジオ 1800円(税別)
ダッドリーくんはなんでもポジティブに向かっていきます。こんな子ども時代がなくなってしまったのではないでしょうか。そう思いながら読んでいくと、今どきの子どもたちにこそ共有させたいおはなしだとつくづく思います。新しい町に引っ越してきたダッドリーくんには友だちがいません。外に出ると、隣の男の子と会います。その子も友だちがいないというので、「友だちなしクラブ」を作ります。公園の出口が分からなくて泣いているおまわりさんを助けるおはなしには笑ってしまうでしょう。給食のテーブルをひっくりかえしたという罪をかぶせられて悔しい気持ちのままの帰り道、出会った校長先生がダッドリーくんを励ますおはなしはぐっときますよ。アーノルド・ローベルの挿絵がファンタジーに誘います。平和とは、こういうダッドリーくんの毎日が積み重ねられることではないでしょうか。続きのおはなし作りをするといいですね。(岩辺泰吏)
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