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『ソンジュの見た星 路上で生きぬいた少年』
リ・ソンジュ&スーザン・マクレランド
野沢佳織・訳、徳間書店2019.5
友人の勧めで手にして、息を詰めるようにして読んだ。北朝鮮の1990年代後半から2010年代半ばまでの現実である。
「ぼく」=ソンジュは、平壌に暮らす。軍人の父と教師の母との3人家族。それが、なんらかのきっかけで父が失脚。北部の小さな町に追いやられる。その頃、北朝鮮を食糧危機が襲い、父は中国に食糧を得ようと渡って失踪する。母も半年後には叔母の元に食糧を求
めに出て失踪し、ソンジュは孤児となる。10代前半の数年間の厳しい路上生活が克明に綴られている。彼らは同じ境遇の孤児たちで「兄弟」を組んで支え合う。それはすさまじい飢餓線上の生活である。私達が何かの国家行事のたびに見せつけられる平壌の光景、そし
てそこに住む人々が「特別な人々」であることが分かる。全校生徒が教師に引率されて「
公開処刑」を「見学」させられる光景に震える。そして、探し回っていた祖父母に救われる。それから、韓国に逃れていた父のもとへ秘かなルートで渡っていく。父との再会を果たした時のお父さんに告げる言葉がこの物語のすべてを伝えている。
「家って、場所じゃなくて、人なんだ。浮浪児になってそれがわかった。父さんも、ぼ
くの家のひとつだよ。」と。リ・ソンジュの体験に基づくノン・フィクションだ。これは北朝鮮の現実であるが、今、世界はこのような境遇に追いやられている子どもたちがあふれている。ぜひ読んでいただきたい本だ。
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