2月4日(土)アカデミー千石にて2月例会を開きました。今回はショートアニマシオンが小山公一さんの「ことばでアニマシオン」でした。
■ことばでアニマシオン
ことばにこだわり、書籍や新聞、広告などさまざまな媒体のことばに注目してアニマシオンを考えた小山さん。今回は「ことば遊びを通して、ことばの楽しさを知る」というねらいで3つのアニマシオンを紹介しました。
1.グループで俳句づくり
参加者を3つのグループに分けます。それぞれのグループに色がついたカードを配ります。赤のグループの参加者は季語をいれた5字をそれぞれ自由に考え書いていきます。青のグループは7字を考え書いていきます。水色のグループは季語のない5字をそれぞれ書きます。そして、3つのそれぞれの色から一人を選び、書いた文字を発表していきます。すると面白いことに俳句ができるのです。
「雪国の つんでたのしき 風がふく」
「梅の花 春の嵐に いもけんぴ」等々。
この手法は俳句の授業で面白く取り組めます。
2.書かれていない言葉をさがす
グループに大型絵本『むこうがわのあのこ』(光村教育図書)が配られ、この絵本の表紙をじっくり見ます。そしてこの表紙を見て思いつく言葉、見えない言葉を見つけるというものです。よく観察すると、「塀」「自然」というものから「差別」「分断」「距離」などその作者が訴えるようなものまで想像できます。
3.ことば遊びを楽しむ
これは「し」という文字のつく「政令指定都市」「野菜」「食べ物」「乗り物」「誤り」をグループで出し合うというアニマシオンです。例えば「野菜」なら
しゅんぎく、ししとう、しろうり。しょうがなど。グループで数を競います。
ショートアニマシオンということで短時間でしたが、ことばを楽しく考えたひと時でした。
■戦争遺跡でアニマシオン
当初は「民話でアニマシオン」でしたが、その中でも戦争に関する民話にこだわりがあり、また自分の暮らす地域の戦争遺跡を伝えたいという渡部さんの強い思いからこのアニマシオンになりました。
1.おばけどうろう
グループに上部だけある「とうろう」の写真が配られます。そして、アニメーターから、「これはおばけどうろうと呼ばれています。なぜそうよばれているのでしょうか、想像してみよう。」との指示が。
・足があると動き出してしまう。・まわりに亡くなった兵隊のお化けが出る。
・石が大きなたるの漬物石として使われた。等の意見が出ました。
そして、アニメーターによる紙芝居の実演。この紙芝居は『学校の怪談 幽霊によばれた校長先生』(ポプラ社)の「おばけどうろう」(萩坂昇作)をアニメーターが紙芝居にしたものです。この紙芝居の中に答えがあります。紙芝居で過去の戦争で多くの兵士が命を落としたことがわかりました。
2.馬房が残っているのは
グループに川崎市宮崎の住宅地に残る馬房の写真が配られます。アニメーターから2つの課題が出されます。
「戦争中、馬たちはどう扱われたのだろう」
「どうして 今日まで馬房がのこっているのだろう」
これについてグループで写真をよく見て想像していきました。
・船で南方や中国に送られ荷物の運搬など行った。
・最後は食料などに使われた。等の意見が出ました。
そして、ここでアニメーター手作りの紙芝居の実演。これは『戦争に行った馬』(静山社)を元に紙芝居にしたものです。岩手県の農家で働く馬「ランタン」に召集令状が来て、「ランタン」は名前も「勝山号」と名前を変えられ中国戦線へ。多くの馬が戦死する中、「勝山号」は生き抜き、帰国したという話です。その帰国先が川崎市だったと。この「勝山号」の取り上げ方については討論の中で、生延びた馬だけ特別視していいのだろうかという疑問も出されました。
アニメーターの地域の戦争遺跡を伝えたいという強い思い、そしてそれを紙芝居で地域の子どもたちに伝えているアニメーターの姿勢は見事だと思いました。詳しくは次号機関紙「ファンタジスタ」をご覧ください。(笠井英彦)
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槌谷 文芳 (水曜日, 08 2月 2023 11:10)
生き延びた馬がいて、戦争で死んでいった馬や、人々に思いを馳せることもできます。人々には、日本人だけではなく、現地の人々がいます。紙芝居から、戦争について考えることのできる、とても良いアニマシオンと思います。