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今こそ読もう、この一冊!!102

『すこしずつの親友』 森埜こみち

 講談社2022年6月

 『すこしずつの親友』というタイトルがとてもいい。「すこしずつ」と「親友」とのマッチングが関心をわかせる。「わたし」は小学高学年だろうか。大好きな伯母さん(独り暮らし)の元に、パジャマと歯ブラシを持って泊りに行っていろいろとお話を聞かせてもらう。叔母さんは若い時から、友だちと二人、あるいはほとんど一人で、世界中を歩いてきた。ネパールで、インドで、オーストラリアで、イタリアで、ロンドンで……。そこで出会った人とのほんのちょっとしたふれあい、出会いが「すこしずつの親友」なのだと話してくれる。その小さな語りの短編集だといえる。あぶない出会いもあるし、ふしぎな事象もあるが、「わたし」にはあたたかく受け入れられる。読者もまた叔母さんの語りの世界にすんなりと溶け込んでいける。伯母さんの肩ひじを張らない語り方に学びたい。

 「わたし」は「人との関わりかたを少し変えてみました。相手に対して興味をもつようにしてみた。まえよりすこしだけ、もっと興味をもつの。」と。そして、親しい話のできる友を見いだしていく。高学年期の子にすすめたい。教室の読書会にもいいのではないかな。ぜんぜん関係ないけど、発行日が私の誕生日だというのもいい!(岩辺泰吏)