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今こそ読もう、この一冊!!96

『子ども白書 2022』

日本子どもを守る会編 かもがわ出版 2022年7月 

 今年70周年を迎えた日本子どもを守る会が毎年出している子ども白書。日本子どもを守る会は1952年、子どもの憲法とも言える「児童憲章」の完全実現を目指して発足した会だ。この会が発行する『子ども白書』はで今年58冊目。日本の子どもたちの教育、福祉、司法、医療、文化等、日本の子どもに関することが詳細に記されている。子どもを論ずるには欠かせない書物だ。毎年特集を組んでいて、今年の特集は「オンラインで変わる子どもの世界」。3年続くコロナ禍でオンライン教育は急ピッチで進んだがそこに問題はないのか、識者が鋭く指摘している。私が特に印象に残ったのは、日本でもベストセラーになったスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンの著書『スマホ脳』『最強脳』を取り上げた記述だ。この書の訳者久山葉子さんによれば、スウェーデンではアンデシュ・ハンセンのトークリンクが小学校の保護者全員に送られるなど、デジタル教育のメリットだけでなくそのデメリットや対処法もしっかり紹介しているという。また、作家の山崎ナオコーラのインターナットのリテラシーについての対談や養老孟司さんのメタバースに関する対談など、今の日本の学校教育を見た時大いに考えさせられたし面白かった。子育てや保育、教育に関わる方にはぜひ読んで欲しい。(笠井英彦)