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今こそ読もう、この一冊!!91

『セカイを科学せよ』

  安田夏菜 著 講談社 2021年10月発行

 父は日本人、母はロシア人の藤堂ミハイルは髪は栗色、瞳は茶系でくっきりとした二重まぶたのイケメン。過去の経験から、目立たず、周りにとけこむように努力している中学生。部活は科学部電脳班(別名パソコン班)。父がアメリカ人で母が日本人の転校生、山口アビゲイル葉奈は、縦にも横にも大きくて、髪の毛はモコモコのカーリーヘア、肌の色は、ちょっとミルクの入ったコーヒー色。日本生まれの日本育ちで日本語しか話せない。目立つことを恐れない個性豊かで行動力もある彼女は「蟲」が好きで、科学部生物班を復活させた。複数のツールを持つ対照的な二人が出会い、アビゲイル葉奈の言動に影響され巻き込まれ、ミハイルを初め科学部全員が変わっていく。科学部が順調に進み始めた時、保護者からのクレームが原因で生物班は存続の危機に見舞われ、虫の

飼育だけでなく、科学的な取り組みを行い成果をあげなければならなくなった。「ミジンコの心拍数と水温の関係」というテーマを決め、仮説をたてて、データをとり、検証し、わかっていく楽しさ。みんなで一緒に取り組むのも楽しい。活気もやる気もなく、バラバラだった科学部電脳班と生物班が、一つの目標のために頑張りまとまっていく展開が面白い。(小学校高学年~中学生向け)(廣畑)