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今こそ読もう、この1冊!!81

詩を愛する岩辺泰吏さん

 

 火曜日5時間目理科の時間は「コップ」という詩。この詩について岩辺さんは「まどさんは、じっとコップを見る。見つめる。コップは水を入れるだけではない。水とともに、コップの外側の世界(あるいは宇宙)を受け入れ、包みこんでいるのだ。」(P62)と書いている。きっと岩辺さんも、じっとコップを見ているのだなと思う。まどさんが見つめたのと同じ視線でコップを見つめ、その全体を存在としてとらえようとしている岩辺さんが見えるような気がする。水曜日5時間目学級活動で、「ぼくがここに」を読んで、ぼくはぼくなのだ。何ものにも代えがたい存在なのだと自分も確信し、子どもたちにも確信させているのだろう。月曜3時間目の総合「イヌが歩く

」では、この詩を自分流に歌う子、踊るように暗唱する子、仲間と一緒に輪唱風に暗唱する子どもたちがいて、彼らに盛大な拍手を送っている岩辺先生が目に浮かぶ。金曜日3時間目は「地球の用事」、その時岩辺さんは、地球の用事がビー玉を呼ぶ様子を思い浮かべているに違いない。

 この本に取りあげた52編の詩、取りあげなかったその他の全ての詩を岩辺さんはまるごと受け止め、その世界を共有しているように思われる。岩辺さんはまどさんが好きだ。その詩も、生き方も、宇宙観も、すべてひっくるめて大好きなのだ。「まど・みちお」だけではない。谷川俊太郎も、坂田寛夫も、こやま峰子も、北原白秋も、名前を挙げれば切りがないが、その他の詩人達の詩を、岩辺さんんは読み続ける。そして彼らの詩を包みこむように愛し続ける。どこまでも「詩を愛する岩辺泰吏さん」なのだ。(廣畑)