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今こそ読もう、この1冊!!53

『勉強する気はなぜ起こらないのか』

外山美樹著 ちくまプリマー新書 2021年4月

 私は今、中学3年生を1クラス教えています。夏休み前最後の授業で本書の一部を読み、紹介しました。3年生にとって夏休みは受験のために勉強しなければならない時です。でも勉強する気になるのはなかなか難しいことです。著者は教育心理学の専門家で、本書はやる気について、過去から現在までの有名な心理学の実験や学説をとてもやさしく、中学生でもわかるように説明しています。その意味で本書は受験に向けて勉強する中学3年生にとって最良の書と言えます。

 本書では「やる気」を「内からわき出るやる気」(学術用語で「内発的動機づけ」)と「外から与えられるやる気」(学術用語で「外発的動機づけ」)に

分けて説明しています。この動機づけでは「内からのやる気の方が外からのやる気よりも、行動する理由として望ましいと考えられている」とあります。ど

ういうことかというと、勉強する理由が、「面白くて楽しいから」「新しいことを知りたいから」の方が、「先生や親に叱られるから」「先生や親に褒められるから」「良い成績を取りたいから」などの理由よりも行動を持続させるというのです。これは私たち読書のアニマシオンに関わる者にとって自信になり

ます。授業を面白く、楽しくすることが実は勉強の動機づけになっている訳です。「やる気を左右する周囲の存在」の章は、進路選択に迷う3年生へのアドバイスにもってこいだと思います。他にも「なぜ誘惑に負けてしまうのか」「目標設定がやる気につながる」「無気力は学習される?」などは心理学の実験がわかりやすく紹介されていて、面白く読めました。受験勉強に悩む中学生や高校生、受験生の保護者、そして教師にぜひ読んで欲しい本です。(笠井英彦)