· 

2月例会「名探偵カッレくんと事件を追え!」

 213日、月例会を開きました。今回の月例会は緊急事態宣言下のため、人数は限定された

12名。学校などに勤務する現職の方の参加は控えてもらいました。内容も、参加者の本の紹介と岩辺泰吏さんによるワークショップのみの会でした。

 今までにない特別な月例会でしたが、参加者は深く考え、楽しむことができました。以下、概要の報告です。詳細は機関紙「ファンタジスタ」に掲載します。

 

「名探偵カッレ君と 事件を追え!」 アニメーター:岩辺泰吏

使用した本は、岩波リドグレーン・コレクションシリーズより、新訳1~3巻、旧訳の3巻『名探偵カッレ 城跡の謎』『名探偵カッレ 地主館の罠』『名探偵カッレ 危険な夏の島』『名探偵カッレ 危険な夏の島』(以上、菱木晃子訳)『名探偵カッレとスパイ団』(尾崎 義・訳)

 まず、2人でチームを組み探偵事務所を開設しました。そして、アニメーターが『名探偵カッレ』を簡単に紹介して、クイズに入りました。

(問1)「なぜ3巻の出版は遅れたのだろうか?」

(問2)「事件はどんなものであったのか、訳者になったつもりで本のタイトルとサブタイトルを画用紙に書こう」

この(問2)は、このアニマシオンの中心になるもので、これを答えるにあたりヒントが3つ示されました。

〈ヒント1〉タイトルです。リンドグレーンの元のタイトルは「Kalle Blomkvist och Rasmus」。この1960年の旧訳と2020年の新訳の表紙の違いを確認しました。

〈ヒント2〉新訳3冊の表紙絵の解説があり、参加者は3冊の表紙絵を詳しく見ました。

〈ヒント3〉「もうひとり大事な登場人物がいます。」ということで、この町の駐在所のピュルク巡査の紹介がありました。若くて賢く、活動的。子どもたちが大好き。今回の事件のきっかけは、巡回中のピュルク巡査がふと見つけたある物がヒントです。この物とは新聞。ここで、事件のきっかけになった新聞の見出しの紹介がありました。

この後、ワークショップは(問3)(問4)と続きます。そして最後に、再度アニメーター から「事件はどんなものであったのか、訳者になったつもりで本のタイトルとサブタイトルを画用紙に書いてください」とありグループで考えました。(詳細は次号の「ファンタジスタ」で)

 次から次に出てくるクイズやヒント。そして資料。これらを参考に参加者はいろいろ考えてタイトルとサブタイトルを考えました。楽しく、深く考えたアニマシオンでした。

●参加者の感想

・中味を推測するのにこんなにもいろいろな方法でせめてくかれるのかと楽しくなりました。遊びこころ満載のアニマシオンでした。

・楽しく参加できました。頭がサビついていましたが、自由に発想する訓練にもなった気がします。カッレ君が身近になり読んでみたいと思いました。

・さすがに岩辺さんの話術に引き込まれました。クイズやヒントの出し方が参考になりました。お話の題を考える活動は、本を読んでいない子どもたちに内容を予想させることになり、有効な活動だと思いました。コロナ禍に集まって研修した意味があると思います。

・とても楽しい活動で、時間がたつのも忘れてしまいました。訳者によってこんなにも題名がちがっていることにとてもおどろきました。題名も自由なんですね。やはりアニマシオンは楽しい活動だと思いました。マスクの上のひげも最高でした。

●アニメーターから

困難な中、貴重な機会をいただいたことにあらためて感謝します。

『名探偵カッレ』の新訳第3巻の発刊が遅れ焦っていましたが、「いやいや、ピンチをチャンスに」と言うではないかと思い、構想を組み立て直しました。探偵ものだから、ストーリーそのものがぐいぐいと惹きこんでくれます。そのうえ、旧訳と新訳の対比がおもしろい。さらに、新訳の平澤朋子さんのイラストがすばらしい! これを活かしたいと思いました。最大のミスは、帯を外すのを忘れたことです。帯の力は大きい・・・と痛感しました。マスクでのアニマシオンは盛り上がりに欠けます。きっと授業でもそうでしょう。やはり、すくなくもアニメーター(教師)の表情が見えなくては子どもを惹きつけ、盛り上げるのは困難です。ここに新しい工夫が必要だと思いました。ありがとうございました。(岩辺)