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今こそ読もう、この1冊!!37

『びっくり どっきり 寄生虫~だれかが、きみを食べている~』

ニコラ・デイビス 文  ニール・レイトン 絵

唐沢 則幸 訳  荒木 潤 監修

2008年12月 フレーベル館  1200円

それはもう、びっくり、どっきり、ドキドキしてしまう本です。

 さて、あなたに質問。次の生物を、寄生虫になれるものとなれないものに分けてみてください。そして、そのわけを教えてください。

 1 昆虫  2 カタツムリ 3 哺乳類 4 爬虫類 5 単細胞生物 6 魚類

そう、寄生虫になれるのは、1,2,5番です。わけは、体が小さいし、生きている間に姿や形態を変えられるから。大きかったら、他のものに住み着くなんてできないものね。

 寄生虫の「すみか」になっているものを「宿主(しゅくしゅ)」というのだそうです。野生動物のほとんど、また、人間も寄生虫の宿主です。えーっ、私たちも!?と気が付くと、あらためてゾワゾワしてきますね(このあたりのことに作者は〔君は「すみか」だ!〕なんていう小見出しを付けています。怖いですね。ワ~もう読みたくない!?大丈夫。どうしてかはこの本を読んでみてくださいね。)

 動物は動き回るし体も大きいので、寄生虫がすみかにするのは、ネズミがジャンボジェットに飛び乗るくらい大変なことなのだそうです。そのため寄生虫もいろいろな工夫をしています。一つの宿主に居座るために子どもだけ引っ越しさせるウサギノミなどです。 宿主にもぐりこむためにはさらなる工夫が。『中間宿主』『終宿主』の存在がそれです。と、まあ、あんまり気持ちよくないなぁと思われるかもしれませんが、なかなか楽しいイラストに惹かれ、そして寄生虫が生きていくために生み出したユニークな方法を知っていくと、ついつい読み進めてしまいます。最後には、寄生虫に対して野生動

物や人間が持っている、これも楽しい力や方法がわかってきます。ぱらぱらとページをめくってマンガのようなイラストを見るだけでも楽しいと思います。 文を書いたのは、あの心温まる『やくそく』や『ぼくの犬スーザン』を書いたニコラ・デイビス。動物学専攻だった作者の本領発揮の作でしょうか。

 (大谷清美)