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今こそ読もう、この1冊!!18

愉快痛快奇想天外‼

タンザニアから=『どうぶつたちの じどうしゃレース』

 

 東アフリカのタンザニアから届いた民話とアートの絵本です。

 とにかくおもしろい。さあ、子どもたち、おいで、おいで。昔々のお話。

 パウカー(はじめるよー)。

 パカワー(はーい)。

 ハポ ザマニザカレ(むかしむかし あるところに)

どうぶつのむらがあったって。

そこで、じどうしゃレースをしようということになったって。

さあ、みんなは、じまんのくるまで やってきた。

ところが、ウサギのくるまときたら、おんぼろぼろの ぼろぐるま。みんな大笑い。

 

次の日曜日までに、ウサギは車の修理をするが、うまくいかない。とうとう、果物や野菜で直すことにした。「勝てば いいのさ!」さあ、どうなったと思う。ぜんぶ、言ってしまうと、もう読まなくていい‥と思うでしょう。だから、書かない。トンデモ ハップンな できごとで、もちろん、ウサギの 勝ち!

 あ、自動車レースが、「むかしむかし」というわけじゃないか。タンザニアでは車の部品などが手に入らないので、身近にある空き缶やらプラスティックなどなんでも使って直してしまうということだ。作者の島岡さんは、かちかちに乾いたとうもろこしをハンドブレーキ代わりに使っていたタクシーに乗ったことがあるそうだ。文を書いた人は日本人でタンザニアに暮らしている島岡由美子さん。元は幼稚園の先生なんだけど、夫とともに、アフリカの人びとの自立支援を目指し、漁業や運送、貿易、芸術・スポーツあらゆる事業を興して活躍している。そして、大好きな民話の採集をして、こんな本を出した。絵はタンザニア、ティンガティンガ・アートのリーダー:アバシ・ムブカさん。6色のペンキを使って、あらゆる色を生みだして、カラフルな絵を描いていく。私には、大好きな銭湯の壁画のように見える。後ろにその描き方と、ぬりえがついているので、コピーしてみんなでやってみよう。島岡由美子さんの『アフリカから、あなたに伝えたいこと 革命児と共に生きる』(かもがわ出版)が出ている。夫の島岡強さんの「革命児」としての生き方には、この絵本よりも圧倒されることでしょう。「きょうの はなしは、これで おしまい。きにいったなら、もってきな。 いらなきゃ、うみにすてとくれ。」『ティンガティンガ・アートであそぼう! どうぶつたちの じどうしゃレース』(かもがわ出版2020.7)2,000円   (岩辺泰吏)