アニマシオンで道徳Ⅳ「てん(the dot)」

2月9日(土)13:30~16:00

明治学院大学白金校舎1号館1253教室

ショート・アニマシオン

「なりたいのは・・・」

―いろいろな場面で使えるアニマシオン―

アニメーター:田邊妙子

<流れ>

1 友だちを作ることを意図しているので、隣同士の二人組を作る。

2 な・り・た・い・の・は と一文字ずつ印刷されたカードを一組として各グループに配布。6つの文字を使い2~3文字の言葉を作り発表する。

2 …のカードを渡し、最後にこのカードが来るように6文字で文を作る。

※ヒント→ は …   (ここまでが導入の言葉遊び)

ここまでの作業で「なりたいのは」という文が出てくればそれを利用、出てこなければアニメーターが示して次へ進む。

3 「なりたいのは…」と書かれたカードに自分のなりたいものとどんなふうになりたいかを記入する。(例を示す:「どこまでも泳げるスイマー」「イルカと一緒に泳ぎたいから」)記入したら友だちのカードを読みあう。

4 本を読み聞かせて本の紹介をする。

 『なりたいのは』長田真作 著 絵本塾出版 2018

<カードの工夫>

画用紙縦半分に切ったものを横にして使う。三つ折りにする(長さは少しずらして折る。)

上の面に(なりたいのは…)の言葉、中の面に四角形と吹き出しを一つずつ書いておく。

四角になりたいものを書かせる。吹き出しにどんなふうに?という言葉を付けておく。

<討論より>

・自分の成長を振り返ってこれから先どうなっていくかなど、スタートだけでなくまとめのところでも使える。

・最初の言葉遊びも面白かった。(記録:大谷)

――――アニメーターをして

 新学級で始まる生活に、期待と不安いつぱいの子どもたちです。緊張をほぐす「ことば

あそび」から始めました。学級開きだけでなく、漢字やアルファベットも使って学習のい

ろいろな場面で「ことばあそび」を活用してもらえたら嬉しいです。

 「なりたいのは…」カードは、コーナーに置き読み合えると友だちを知る機会になると

 

考えました。(田邊妙子)

ワークショップ『てん(the dot)』

――アニマシオンで道徳(よりよく生きる)

アニメーター:石井広昭

<ねらい>

 「絵」という観点から「自分のよさ」について考え方を広げ、自分のよさが他者と異なっていてもよいことや自分自身でよいところを見つけ、大切にしていこうという気持ちを養う。

<対象> 小学校5~6年生

<流れ>*事前に4人組でグループをつくる。

1 有名な画家の“顔の絵”を二組ずつ見せながら、「面白いのはどっち?」などと問いかけながら感想を聞く。

2 『てん』(ピーター・レイノルズ作 谷川俊太郎 訳 あすなろ書房)の表紙を見せ、どんな内容の話か予想させてから読み聞かせる。

3 途中まで読んでは、あとの展開を考えさせる。問いかけは4つ。3つめまではそれぞれの場面で登場人物の言ったことや思いなどを尋ね、本を読み進めながら確かめていく。4つめに、この話を最後まで聞いていいなと思ったところ(話のよいところ、登場人物のよいところ)を問いかける。

4 グループごとに話し合ったことを発表する。

5 小さい画用紙に1個の点(丸)を描き鑑賞会をする。

〔このアニマシオンは、今春出版の本『子どもと創りあげる道徳の授業』(かもがわ出版)に詳しく書かれているので参照いただけると幸いです。〕

 

 今回のワークショップではグループごとの色分けというところに特徴があった。まず、グループごとに違う色のマジックが配られた。黒板にはマジックと同色の色画用紙が貼られている。問いごとに解答を書く用紙は色画用紙より小さめに切った白画用紙だが、それを色画用紙に貼る。こうすることで、自分たちの意見が額縁に入れられて大切にされているように見える。そのあたりは『てん』の内容とも一致しているが、石井さんは普段から小さいサイズの色画用紙を用意していろいろに使わせているとのことだった。このアニマシオンでは最後に制作させるところがキモで、実践では道徳と図工をセットにして1時間ずつ取ったそうである。

―――討論より

・『てん』をどの徳目としてとらえるかについての考え方が多く出された。寛容・他者理解、個性の伸長などのとらえ方ができるのではないか。

・学年によって質問の仕方を変えることでこの本のよさがわかってくるのではないか。

・問いを1、2、3と聞くことであらすじを追うようになっていたのはよい方法だと思う。

想像ができ、意見が出しやすかった。

・グループを色で分けたことは良い。ほっとする。

・道徳の時間に制作をさせたということについてはアクティブラーニングで優れているのではないか。道徳とはこういう流れだと決めつけない(方法で)良いのではないか。

教科書とノートにとらわれてしまうと別の感じになってしまう。

・(現行の教科書にあるように)ワークブックとセットだと、それがあると楽に見えるが

実際に始めると(それにしばられ)それをやらないと終わりにならなくなっているのでは。

・現実には悲惨な状況がある中でただ「家族は仲良く」と与えられる道徳でよいのか。そのためにも「楽しみ・うたがい・議論」し家族が仲良くすることを納得できるようなものである必要があるのではないか。    (記録・大谷)

―――アニメーターをして

日頃は子どもたちと一緒に読み聞かせをしていますが、今回、大人の方の前でワークシ

ョップを行わせていただき、今までにない新たな発見がたくさんありました。

私は、話の内容や言葉に注目して授業の流れを考えましたが、イラストや色づかいや美しさに目を向けている方もいて、1冊の本からいろいろな見方が引き出されることを改めて感じました。これからも、この本を使った授業をしていくと思うので、今日のワークショップで頂いた意見をもとに進め方を工夫してみたいと思いました。貴重な機会をいただきありがとうごあいました。 (石井広昭)

―感想より

(ショート・アニマシオン)

〇文字を並べる活動を楽しんでいるうちに、自分のなりたいものを紹介することになりますね。これをもとに、新しいクラスの子どもたちがよく知りあうこともできそうです。楽しいアニマシオンでした。(S)

(ワークショップ)

〇とても楽しかったです。物語の内容を予想しながら進めていくことで、どんどん本の中に引きこまれ、先を知るのがうきうきしました。ワシテに共感する子もきっとクラスの中に何人かいて、自分のクラスでもこの本を使って授業したいなと思いました。(N)

 

〇物語の内容として、子どもが考えてもおもしろい上、大人が考えてもいろいろな読み方ができるので、授業に深まりが出そうだと思いました。一人ひとりの予想が異なるものになりそうだからこそ、グループで話すのも楽しそうだなと思います。(M)