アニマシオンで道徳Ⅲ「サッカーとバナナ」

ショートアニマシオン

アニメーター :岩辺 泰吏

テキスト『スズメのぼうし』たつみや章(作)あかね書房 1997

〈流れ〉  

4年生に『スズメのぼうし』の読み聞かせをしていたとき小道具に帽子を使った様子などを伝え、ショートアニマシオンは進められた。最初にこの本の主人公であるヒロシは、公園で茶色の帽子を拾い、その帽子をかぶったらスズメになってしまったということから話が始まる。スズメになったヒロシには今まで体験したことのないようなことが起こったのである。ある日、スズメになっているヒロシが、公園で「危ない」と大きな声を出してしまった。アニメーターは、このあたりで話を中断し、「スズメが、危ないと声を出したのは、どんな理由なのか」と参加者に質問をした。早速、画用紙にその理由を書いて、発表すると「へびがいた」、「ねこがいた」などというような理由が挙げられた。アニメーターは、あるところにきたら本を読むことをストップし、その場面を想像してもらうのである。しっかり聞いていないと次の場面が想像できないのである。話をしっかり聞くことができる子を育てたいという願いが伝わってきた。

後の討論では、「途中での質問も考えながら読むというということは有効的である」という意見が出された。また、帽子を使った理由も分かり、ショートアニマシオンとしても良かったなどという意見も出された。―――アニメーターをして  

 読み聞かせだけではマンネリに陥る時があります。そんな時、ちょっとクイズを入れてみると、次の読み聞かせの時に聴き耳を立ててくれます。(岩辺)

【1月ワークショップ】

 アニメーター : 笹島 朋美

 サッカーとバナナの話

〈流れ〉アニメーターは、FCバルセロナのユニフォームを着用し、「バナナとサッカーには、どんな繋がりがあるのだろうか」と質問を投げかけた。グループ(34人)からは、試合前の糖分補給、ハーフタイムのおやつ、バナナシュートなどの解答が出された。アニメーターからバナナはアジア、アフリカ系の人たちに対する侮辱

の意味で使われることがヨーロッパのサッカー界にあるのだということが伝えられた。次にバルセロナのアウスベス選手がバナナを投げ入れられた時にどのような行動をとったかを考えて欲しいと投げかけ、グループで考えてもらった。アウスベス選手は何事もなかったかのようにバナナを食べ、ユーモアで返した。この行動に対する他の選手たちの反応や言葉などが映像などで紹介された。また、元女子サッカー選手の澤穂希さんが、ワールドカップで差別反対の宣言をしている映像、浦和レッズの横断幕事件なども紹介された。参加者は、サッカー界には人種差別の問題があることを再認識したのではないだろうか。

 

最後に、人種差別反対に対するキャッチフレーズをグループで考えて発表した。どのグループの作品が良いのかを参加者に挙手してもらい終了した。

【討論より】

・バナナから人種差別問題につなげたのは面白く、流れもすっきりしている。

・子どもたちの感想を見ると、サッカーの差別問題を通しながら身近な問題についても考えようとしていることが分かった。

・子どもたちはスポーツに差別があることを知ることから、「疑う」・「議論する」ということも出来るようになるのではないだろうか。・日本であまり報道されていないことに対する子どもたちの反応があってもよいと思います。・子どもたちには、サッカー界での差別があることに対して、はっとする授業だったのではないだろうか。・スポーツ選手が発言できるということは良いことだと思う。

記録(小山)