3月例会「道徳でアニマシオン」

ショートアニマシオン「絵本の世界に飛びこもう」アニメーター  小山公一

『むこうがわのあのこ』ジャクリーン・ウッドソン(文)E..ルイス(絵)さくま ゆみこ、(訳)光村図書出版の絵本を前にして、「どのような内容なのか自分で考えてみよう」と伝えられた。考える材料として、表紙・タイトル・最初と最後の方の会話などが提示された。実際には、時間の関係でこの活動は省略した。次に、絵を見ながら場面の確

認があった。最終的に、登場人物の女の子たちは、仲良くなっていることを確認することができた。しかし、どのような理由で仲良くなったのかは、書かれていない。そこで、アニメーターは、「友だちになるには、〇〇〇です」というようなシートを用意し、〇の部分に自分の体験などから出てくる言葉を自由に書くよう伝えた。書き終えた後は、みんな席を移

動して、他の人の考えを知る場を設けた。友だちになるためには、さまざまな気持ちが働

いていることを理解したことと思われる。最後に友だちに関する本が紹介された。

○『気持ちの本』森田ゆり(作)たくさんの子どもたち() 童話館 2003

○『ともだち』谷川俊太郎(文)和田誠(絵)玉川大学出版部 2002年(記録津金/小山)

~アニメーターをして~

 

日常の生活で常に考えておきたいことが書かれていました。他の人たちの考えを少しでも知ることは大切なことだと思います。そこで、このワークショップを考えました。(小山)

ワークショップ:6年生と考えた「世界」

アニマシオン de DOUTOKU!

アニメーター  岩辺 泰吏

Ⅰ・世界地図に共通する約束を考えよう

34人グループに分かれる。

・北極中心の地図、各種の世界地図(日本中心、アメリカ中心、イギリス中心)を見ながら、グループ毎に色々な地図に共通することを考えて短冊用紙に書き掲示する。「北が上」などの考えが出るが、グループ毎にオーストラリア中心の世界地図を描いてみてから実際の地図を示すなどそれぞれの地図と照らし合わせて、検証していく。

・日本海中心地図、雑誌「ニュートン」作成地図を示し、地図の描き方によって、世界の見え方がどう変わるか、宇宙からみたら地球はどう見えるか、国境、砂漠化の問題など気づくことを話し合う。

Ⅱ ・今日の「授業」にタイトルをつけよう

・グループ毎に今日の学びの中心は何かを考えて短冊に書き掲示して見合う。

6年生児童の考えたタイトルと、得票数、岩辺賞を紹介する。

Ⅲ本の紹介

・『おとうさんのちず』ユリ・シュルビッツ作 さくまゆみこ訳 あすなろ書房

・『世界は広く、美しいー地球をつなぐ色』長倉洋海写真集 6巻 新日本出社

◇レジメの児童の感想を読んで、この授業を「道徳」でやるとしたらどの徳目と設定するか、話し合う。

児童の感想例

――ぼくは、今日の授業で思ったことは、地図はどこを中心にしようが、すべての国などをかけば、どうずらしてもいいことで、いろんな意味もあると思いました。あともう一つ思ったことがあります。それはどこの国も戦争をやめて、そのお金で植林すれば、全世界の砂ばく化をとめられるということに、すごいおどろきました。なのに、戦争は悲しいものだとわからずに、戦争をしている国に戦争の悲しさを教えれば、戦争は終わらないかなと思います。さいごに、今日の授業で学んだことで、宇宙から見ると、世界に国境がないことについては、黒人だろうが、白人だろうが、元はみな同じ人なんだなという意味や、みんな平等なんだなとも感じました。(O・男子)

 

――私は今まで世界地図には興味はなかったし、世界は皆同じ地図かと思っていました。ですが、オーストラリアはさかさまだったり、アメリカが中心で、どうなってるのか分からなかったりしました。そして、世界は国境があり、はなれていると思いました。でも、岩辺さんの「世界に国境はない」という言葉が心に響きました。なので、私は、「宇宙飛行士が見る境目のない世界」にしました。このたった2時間のおかげで、世界地図に興味を持ちました。世界には中心がないということは、皆平等ということかと、私は思いました。クイズというのもおもしろかったです。私はもっと世界地図を知りたいと思いました。(S・女子)

討論より

・地図の見方、考え方についての情報が多く、「疑う、議論する」展開が不十分。・6年社会科「世界の国々」の導入で行い国境や環境破壊、平和の問題を丁寧に確認、考えさせる授業を組むと良い。

・各国中心の地図の比較に比重をかけ、なぜ中心に描かれるかなどグループで十分話し合うと「疑う、議論する」活動になるのではないか。

6年児童の感想に、「授業が心に響いた」「世界に国境はない」「みんな平等」「戦争をやめ植林を」「自然に考えさせられた」などの記述があり、道徳の授業として成り立つと感じた。         (記録 滝脇)

――アニメーターをして

 「徳目」から出発するのではなく、「何を学んだのか」をそれぞれに考えていく在り方を提案しようと思った。しかし、「うたがう」「議論する」が不足しているのではないかとの討論での指摘はその通りだと思った。やはり複数のチームでしっかりと検討して例会にのせるべきであったと反省した。(岩辺)

――感想より

●「地図は居る場所によって違う」ことを知り、ではどうして違うのか? が議論の大事なポイントになるのかなと思いました。道徳の授業はどうしても、「ありがたいお話」で終わる形に構造上なりがちです。「今日のめあて」のゴールありきでなく、結果として子どもたちがなにがしかの価値観にたどりつく。それも、できれば楽しく、そんな道徳の授業を目指したいなと思いました。(Y

●地図にこめられたメッセージを読みとるというのがおもしろかったです。教師側には、子どもたちに“伝えたい!”という思いがあるため、そこを押し出しすぎると、討論や、うたがって考える時間は、うばわれてしまうなと思いました。伝えたいことをしぼって、いかに問いかけていくか、討論を生ませていくか、考えていくことが、オーダーメイドで授業をつくっていくには大切だと思いました。 

 

 地図一つで世界が広がる、すてきな授業だったので、2年生ですが、紹介してみたいなと思いました。また、子どもたち自身が最後に今日の学びは何だったのか、自分で決める。自分で学んだことを言葉にさせるまとめは、特に道徳では大切だなと思いました。(M)