11月例会「アニマシオンの手法を取り入れたアートゲーム」

「アニマシオンの手法を取り入れたアートゲーム」アニメーター: 島谷あゆみ(広島)

前半30分は、アニマシオンに関わった経緯、アニマシオンとアートゲームの共通点、アニマシオンの手法を取り入れたアートゲームの授業の様子、教育的効果、アートゲームの今後の研究課題などを、スライドを使っての説明がありました。

アニマシオンとアートゲームの共通点は、子どもたちの主体的な活動とコミュニケーションを大

切にするということです。また、アニマシオンの手法を取り入れた鑑賞の時間では、記入したワークシートの語彙量が増え、他者とのコミュニケーションも豊かになったという報告がありました。

 

 

本日のアートゲームの最初は『パズルルル』です。ジグソーパズルのピースの1片を裏返しのまま受け取り、4ヶ所の絵のどれかに当てはめて絵を完成させることから始まりました。パズルを完成させるためには、5~6人分のピースが必要です。完成したら、その5~6人で絵を見て、感じたことや思ったことなどを話し合います。その後、自分のワークシートにそれらをまとめて書きます。次に、そのワークシートを持って、他のグループと自由に絵に関する交流を行います。ある程度の時間で、自分の席に戻り、黒板に掲示された4種類の絵を見ます。4種類の絵は、各テーブルで完成したジグソーパズルの絵と同じです。並べられた4枚の絵を見ると、「どの絵も色彩が似ている」「どの絵にも鳥がいる」などということが分

かります。絵と自分が対話するだけでなく、他の人との交流も生まれます。中学生となると作者の人物像まで話題が広がるそうです。これが、アニマシオンを取り入れた良さだと述べていました。

次は、「見えないものが見えてくる」というゲ―ムです。各自に手渡されたランドセルの中には絵が入っています。自分で絵を見てはいけないというルールなので、どのような絵なのかは分かりません。次に、教室を歩き回りながら、他の人にランドセルを開けてもらい、絵を見てもらいます。

口頭で絵の説明をしてはいけないというルールがあるので、その絵に合うオノマトペの言葉を付箋に書いてもらいます。その付箋紙に書かれた言葉を頼りに、自分の絵を想像します。できるだけ歩き回って、言葉を多く集めます。付箋紙が無くなったら席に戻り、黒板に掲示された8種類の絵を見ます。ランドセルの中の絵は、黒板の絵のどれかになります。そこで、オノマトペの言葉を頼りに自分の絵だと思うところに並びます。絵の前に並んだら、どんな理由で、その絵の前に並んだかを発表します。そのあと、自分のランドセルを開けて絵を見ます。実際に自分が予想した絵と黒板の絵が一致しないことがあります、図工の教科では、正解はないのでアウトとはしません。ここでは、意見を述べ交流しあうことが大切なことと強調していました。その後、自分と同じ絵をもった人同士で話し合い、感じたことを三行詩で表現することなどの実践を話して下さいました。

討論より   (担当者の回答も含む)

・最初のアートゲームでは、1人の作家の絵を選んだが、その作家は、子どものような絵を描きたいと願っていた作家であり、ストーリーが作りやすいと思ったから。

・学年に応じた作家でもよいが、子どもたちとの交流ができる条件などをいつも考えている。・どのようにしたら作品と交流できる学習(言語化して表現する)になるかを常に考えており、大人と子どもの反応の違いなども見てみたい。・ジグソーパズルで絵を切り取るが、学校の授業でのみ使用ということで考えている。・今回、新しい切り口をみることができた。・手作りのランドセルを背負うという発想がおもしろい。作り方を知りたいという声も出た。・アニマシオンの手法を絵の鑑賞に取り入れたことは、すごいと思った。(記録 小山)