5月「誰にでもすぐできるアニマシオン」&「海の命から立松和平の世界へ」

はじめに岩辺より「朗読」。第4回はロシア民話より『三人の息子』、岩辺再話。ショート・アニマシオンは井上桂子さんによる「どの本、読もうかな?」。20冊ほどの本のタイトルが並べられ、その中からグループごとに読みたい本を選び、表紙(前・後)から物語を推理する活動。今回は親子参加も2組あり、楽しい発表となりました。本に手を伸ばしたくなるように誘うアニマシオンです。時間的に全てのグループの発表とはいきませんでしたが単純に見えて応用範囲の広いアニマシオンです。

本番のワークショップは、緒方敬司さんによる「『海の命』から立松和平の世界へ」。『海の命』は、光村図書の国語教科書にも掲載されていて、その「読解」で終わりがちな授業を“次の読書”へ誘う活動と組まれています。立松さんの「いのち」のシリーズの絵本は全部で7冊あります。まず、そのタイトルを想定させました。

――宇宙のいのち、砂漠のいのち、星のいのち、大地のいのち…山、川等々、自然に関わるものが多く出されました。ランドセルいのちもありました。立松和平の絵本は、山、海、川、街、田んぼ、木、牧場があり、木と牧場はどこのグループからも出ませんでした。その上で『海のいのち』を除く6冊を示し、グループごとに1冊を選んで読み合わせ、あらすじを知らせ合いました。『海』はすでに全員が学習している前提に立った活動であるからです。

次に、『海の命』を含めた7冊の合冊本を作るとして、そのタイトルを考えさせる活動。やはり6年生らしい学習となりました。本のタイトルには「いのち」を使わないという約束のもとに相談した結果、次のようなタイトルが出されました。

「息吹き」「いきる」「生きていく―つながりの中へ―」「立松和平の七つの平和」「でっかく生きよう」「尊く輝く」。その中から一人2票で「生きていく」が選ばれました。

 討論では「あらすじ」を書くのが大変だったということが出されました。このことを含めて、岩辺からは点、提起しました。

第1は、自分たちが分担した本を紹介するという自覚に基づいて読み、まとめる活動の大切さです。「感想文」ではなく「伝える文」(説明文)としてまとめていく活動です。説明文の構造を体得させていくことが、目的にもなっています。「はじめ」「なか」「おわり」の意識を持って展開していくこと。それに「テーマ」や印象に残った場面や文章の紹介をつけくわえると、的確な説明になります。

第2は、授業の持つ意味です。その教材を読解し、漢字、語彙、文法を押さえてテストして終わりというのではなく、「その向こうの広い世界へいざなう」ことで、自立した読者へ導いていくことが、今日の教科書編成となっている。今回のアニマシオンの持つ意味づけを確認しました。今年度前半は、『子どもの心に本をとどける 30のアニマシオン』に基づいて、ショートアニマシオンは「どの本、読もうかな?」、ワークショップは「編集者になろう」を行いました。実際に参加してみると、よくわかるものだと思います。ぜひ例会においでください。今回は、会場の徹底が遅れたために、ご迷惑をおかけした参加者がありました。おわびします。

●(感想)今日はありがとうございました。途中からの参加でしたが、本の紹介、アニマシオン、どちらも楽しんで参加することができました。『海の命』は今年度6年担任になったので指導することになり、今回の「編集者になろう」はぜひ取り組んでみたいと思いました。立松和平さんの他の「いのち」シリーズの本を読むのは初めてだったので、今日自分が読んだ本以外もぜひ読みたいと思います。また子どもたちにも読んでほしいと思いました。(H

●「編集者になろう」まさに読書指導だと思いました。各班で「○○のいのち」を読んで発表しあうことにより、7冊の本に興味を持ち、読んでみたいなという気持ちになると思います。あらすじをまとめることも大切であるし、力になります。最後に話し合いで決めるタイトルも「いのち」を使わないということで、考えの幅が広がったと思います。(N)           (記録:岩辺)

次回は、ショートアニマシオンは「オオカミがにげた」(笹島智美さん)ワークショップは「小さな命がつなぐ人びと」(増田栄子さん他)。参加費500円です。

 

*なお、午前10:0012:00、同教室で運営委員会を行います。