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5月例会「菊池好江さんによる紙芝居のお話と実演」

■菊池好江さんによる紙芝居の実演とお話

 5月4日(土)5月特別例会を開きました。今回の特別例会は菊池好江さんによる

紙芝居の実演とお話です。菊池さんは「紙芝居を演じる会ひょうしぎ」会員で、さま

ざまなところで紙芝居を演じています。私たちが2019年に発刊した『アニマシオンで

道徳』(かもがわ出版)でも44の紙芝居の作品を紹介してくれました。連休中でしたが、菊池さんによる特別例会ということで、教師や図書館司書、学生、菊池さんの

ファンなど多くの方の参加がありました。

 まず、菊池さんが話したのは絵本の「読み聞かせ」と紙芝居を演じることの違いです。絵本はじっくり絵を見て読むもの。紙芝居は読むというより演じるものということ、紙芝居の演じ手はその作品の絵と脚本を理解し、聴衆を意識して演じるものだということです。その違いを菊池さんが好きだという韓国の絵本『せかいのはてまでひろがるスカート』と比較して説明がありました。

 菊池さんが今回演じたのは「こぎつねコンチとおかあさん」「やすこちゃんがわらった」「おふくろとおに」「りょうかんさま」「やまなし」の5作品です。菊池さんは、それぞれの作品を演じた後、その作品について、作品が書かれた時代背景や作者の経歴、作品の良さ、演じる上での注意点などの話がありました。例えば「こぎつねコンチとおかあさん」では、左で絵を抜いていくので主人公は左向きになる。抜くときに途中でとめるなどの技術がある。何気ない話だが、お母さんがコンチの気持ちを受けとめるとてもいい話なのでその気持ちを踏まえて演じている等々。

菊池さんからは紙芝居を演じる上で大事なことの話もありました。演じる上で大事

なのは「下読み」。どんな作品なのかをつかみ、下読みする。自分で脚本を書き写す

こともある。そうすると登場人物の声が出てくるということでした。

 紙芝居は舞台があって演じるもの。舞台は必要だということ。演じ手の立ち位置は舞台のそでをうまく使うこと。立ち位置は作品によっても違う等。

 今回の5つの実演の中で圧巻だったのは宮澤賢治の名作「やまなし」でした。菊池さんが使ったのは絵本作家諸橋精光さんのものです。この諸橋さんの絵はダイナミックで色使いもとても綺麗で素晴らしいのです。そして菊池さんのカニの親子の声が絵によく合っていて引き込まれるのです。これは感動の紙芝居でした。日本で生まれた紙芝居という優れた文化に触れたあっという間の2時間半でした。

(笠井英彦)